profile
date: 2016.1.21
がたろ
ガタロ
1949年生まれ。
広島市の市営基町アパート1階にあるショッピングセンターで、毎朝4時から30年間専属清掃員として勤務。清掃の仕事が一段落すると、拾ってきたクレヨンや鉛筆で絵を描き始める。描くのは、友人のホームレスや掃除道具など人から注目されることのないものたち。
Gataro
Born in 1949 .
Mr Gataro has worked as a cleaner for 30 years at Municipal Motomachi apartment store located in Hiroshima City , he starts work at 4:00 every morning .
After work Mr Gataro draws pictures using the crayons pencils that has picked up during his day.
He continues to draw and uses subjects that will not draw , such as friends, the homeless and cleaning tools .
Born in 1949 .
Mr Gataro has worked as a cleaner for 30 years at Municipal Motomachi apartment store located in Hiroshima City , he starts work at 4:00 every morning .
After work Mr Gataro draws pictures using the crayons pencils that has picked up during his day.
He continues to draw and uses subjects that will not draw , such as friends, the homeless and cleaning tools .
column
written: 櫛野 展正
鉛筆やクレヨンで塗りこまれた重厚な絵画。描かれているのは、モップや雑巾などの掃除道具たち。偶然テレビ番組で目にし、一瞬でその絵の虜となった。
広島市中心部にある市営基町アパート。そのアパート1階のショッピングセンターで、たった一人の清掃員として30年間毎朝4時から9時過ぎまで働いているのが、その絵の作者ガタロさんだった。65歳の彼は、清掃の仕事が一段落すると掃除道具置き場のアトリエで拾ってきたクレヨンや鉛筆で絵を描き始める。
彼は、その絵に自らの辿ってきた人生を重ねているかのようだ。物心ついた頃から絵を描き始め、中学時代は担任教師の勧めで洋画部に所属。高校卒業後は、大阪の印刷会社やキャバレーのボーイ、日雇いの解体工事など、いくつもの仕事を経て、33歳の時広島に戻り、ショッピングセンターの清掃員として働き始めた。
当初長続きしないと思っていた清掃の仕事も、文句ひとつ言わない掃除道具の姿に彼は心打たれていく。いつしか清掃員の仕事に誇りを持つようになり、気づけば30年。
最も身近な存在である掃除道具を描くのは、彼にとっては当然の行為なのかもしれない。人から注目されることのないモノたちを描く。華美であることがもてはやされる現代において、これほどまでに「無骨」という言葉が似合う絵描きを僕は他に知らない。