クシノテラス

会期:2021年1月23日(土)~ 4月11日(日)
10:00~18:00 
月曜日  ※祝日の場合は開館

会場 :
京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
(〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124)

観覧 :
一般2,000円(1,800円)
大学・専門学校生1,500円(1,300円)
高校生1,000円(800円)
小・中学生500円(300円)
未就学児無料
*全て税込

平成美術 うたかたと瓦礫

京都市京セラ美術館の新館「東山キューブ」では、1980年代後半より現代美術について鋭い批評活動を継続的に行なっている美術評論家の椹木野衣を企画・監修に迎え、独自の視点で選定したアーティストたちによる集合的活動にフォーカスした平成年間(1989-2019年)の美術を振り返る展覧会を開催します。
「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」をキーワードに、経済的な停滞と未曾有の災害に繰り返し見舞われた平成の時代を、椹木の視点にもとづきアーティストたちがどのように時代と状況に応答してきたかを探ります。

クシノテラスからは5名の表現者を紹介いたします。

公式サイト

いま、不穏と呼ぶしかない令和の幕開けの渦中にあって、改めて31年あまりに及んだ平成の美術とは何であったのかについて、ここ京都の地から振り返ってみよう。1980年代、1990年代というような10年間(の傾向)で区切るのではない。「明治」の美術が、日本における美術そのものの夜明けであったように、「大正」の美術が、自我を持った絵描きたちによる叫びと前衛の新興であったように、「昭和」の美術が、戦争の前後で光と影のような対照を見せ、その後、民主主義と平和憲法に倣い、数々の分派へと枝分かれしていったように、そのような輪郭だった美術の容貌(精神)を、果たして「平成」の美術は持っているだろうか。ここではそれについて、自然災害や事件、事故、経済危機が多発した時代における、複数の美術家たちによる「密」な集合的活動の集積として捉え、バブル経済の崩壊と東日本大震災(福島原発事故)を念頭に、鴨長明『方丈記』と磯崎新『瓦礫(デブリ)の未来』に倣って、「うたかたと瓦礫(デブリ)」と呼ぶことにしたい。
―椹木野衣
  • かんばやし ひとみ

    上林 比東三

    1952年生まれ、京都府在住。

    舞鶴市にある自動車鈑金塗装店「カーペイント・ヒトミ」のオーナー。

    仕事の傍らで、5年ほど前に、仕事の息抜きで海を訪れたとき、

    流れ着いた1本の木が「蛇」に見えたことがきっかけで、手のひらサイズの作品の制作を開始。

    作品は年々大型化しており、近年では自由に表現するために宇宙人や妖精など「想像上の生物」ばかりをつくっている。

    店の駐車場だった場所には、宇宙人や動物をあしらった大型の造形作品がたくさん並べられており、これまで400体以上を制作している。

  • いなむら よねじ

    稲村 米治

    1919年生まれ、2017年逝去。

    1970年に約5,000匹の昆虫の死骸を使って「昆虫新田義貞像」を制作。

    1975年には5年の歳月をかけ、20,000匹以上の昆虫の死骸を使って高さ180cmの「昆虫千手観音像」を建立した。

  • じょうでん さだお

    城田 貞夫

    1940年生まれ。広島県在住。

    東京で「はとバス」の運転手として23歳まで働いた後、広島県福山市に戻り自動車の塗装業を経て、42歳より広島県福山市でスナック「ジルバ」を開店。独学で身近な素材を使ったカラクリ人形やひとり芝居用の舞台セット、木彫り人形など多彩でエロス溢れる作品を作り続けている。

  • がたろ

    ガタロ

    1949年生まれ。

    広島市の市営基町アパート1階にあるショッピングセンターで、毎朝4時から30年間専属清掃員として勤務。清掃の仕事が一段落すると、拾ってきたクレヨンや鉛筆で絵を描き始める。描くのは、友人のホームレスや掃除道具など人から注目されることのないものたち。

  • すとれんじないと

    ストレンジナイト

    栃木県那須高原にある私設博物館「創作仮面館」館主。

    館内には、廃材などを使ってつくられたオリジナルの仮面が「2 万点」以上展示され、建物全体も仮面や人形で覆われている。

    1年間を通して、ほとんどの日が休館日。

    普段よりマスクマンとして、素顔を明かさずに生活している。